実装後の解析作業 (2) リフトオフ

実装後の解析作業(2) リフトオフ

鉛フリー実装を手がけるとき、まずお客様が気にかける不具合のひとつがリフトオフではないでしょうか?鉛フリーはんだの開発初期に多発した不具合ということもあり、広く知られるようになりました。「フィレットリフティング」と呼ばれることもあるようです。

リフトオフには、

  1. 基材(樹脂)と銅箔が剥がれるもの   ランド剥離
  2. 銅箔とはんだの接合部が剥がれるもの  フィレット剥離

そのため、日本製の材料を使う、材料の保管条件を管理する、などの当たり前の管理をしていればあまり心配はいらないと考えます。

文献などで紹介されて注目されているのは2の方のです。本来、リフトオフは鉛入りはんだでも発生する可能性があります。それは、リフトオフの発生メカニズムを見てもわかります。

リフトオフは、部品のリード(ピン)とプリント基板を接合するはんだで起こります。当社のお客様では幸い発生したことがないので、現物の写真はありませんが、いろいろな文献で紹介されているので、参考に見るのもよいかと思います。

リフトオフ

ちなみに、当社の鉛フリー実装のセミナーでも詳しく解説しますので、ご都合のお許しいただける方はご聴講ください。

右の写真を使って簡単に説明します。フロー後のはんだは先に温度が下がるフィレット上部から凝固します。その際、凝固が遅いランド部分に低融点の金属が凝固した部分から押し出されます。

先に凝固したフィレットの上部では収縮が起こるため、ランド部分に引っ張る力が加わります。そこで剥離が発生します。これがリフトオフです。はんだが凝固する過程で発生し、経時変化によって発生するものではありません。

凝固温度範囲が広いはんだではこの現象が起きやすく、Sn-Bi系はんだで多く発生するようです。当初、融点の低さから使用されたこのはんだは、最近ではあまり使用されなくなっているようです。

現状、わかっていることを以下にまとめます。

  • 広い凝固温度範囲を持つはんだで発生しやすい
  • 熱による膨張係数の大きい材料で発生しやすい
  • 基板が厚くなると発生しやすい
  • 挿入部品のはんだ面側で発生する確率が高い
  • 両面基板で発生しやすい
  • 端子が太い場合に発生しやすい
  • 従来の共晶はんだでも発生する可能性がある
    以上のことから、リフトオフの抑制に必要なことは、以下の項目で注意を払うことになると考えます。

  • 基材
  • はんだ
  • 実装時の温度管理
  • 基板の穴径とリード径の相関
  • ランド形状とレジスト仕様
  • 信頼性試験

私たちは、リフトオフの抑制に限らず、鉛フリー実装の導入の際には、温度サイクル試験などの「信頼性評価試験」をお勧めします。信頼性試験の内容については、「エレクトロニクス実装技術 2006年1月号」に詳細に記載していますので、ご覧ください。内容をご要望の方は弊社までご一報いただければ幸いです。

更に、当社では、信頼性試験を想定して開発した信頼性検討用基板を販売しています。通常の製品用基板では網羅できない信頼性試験全般に対応が可能です。ホームページの詳細をご覧ください。カタログのダウンロードも可能です。

 

実装後の解析作業 (1) ボイド

実装後の解析作業(1) ボイド

前回に説明したとおり、信頼性評価試験の後に接合強度を測定することで、強度の劣化の傾向を知ることができますが、強度測定のほか、表面や断面の観察も重要な作業です。今回は、はんだ内部のボイドについて述べてみたいと思います。

X線画像

部品と基板の接合強度を低下させる大敵がボイドです。【写真1】はBGAのボールのX線写真ですが、ほとんど全部のボール内部にボイドが発生しています。鉛フリーはんだは従来の共晶はんだよりも粘性があり、ボイドの発生量が多くなる傾向があります。

ボイドが厄介なのは、目視では存在すらわからないことです。例えば、BGAのボール中央にある小さなボイドの影響は軽微であっても、デバイスや基板との接合部分に存在する場合には、接合強度へ影響を及ぼす恐れがあります。ボイドが多くなると引っ張り・せん断強度が弱くなります。つまり、接合信頼性が低下します。リフロー工程での温度管理がしっかりしていないとボイドが多発します。ボイドの発生を抑えるためには、リフローでのプリヒートの時間や温度を意識して、ガス化したフラックスが放出されやすくなるような温度プロファイルの管理しなければなりません。

目視で確認できないため、X線検査装置やマイクロスコープなども必要になります。ただし、ここでお断りしておきたいのは、ボイドが起きやすいからといって透過型のX線検査装置を買われるお客様がいらっしゃいますが、購入は避けた方が無難です。設備として1000万円前後の費用が必要になる上に、ボイドの有無により、接合部分の良否を判定することはできません。微小のクラックも判別できません。私たちは、製造後の流出を防ぐよりも、製造段階でボイドを低減する方策に力を入れていただくことが肝心ではないかと考えます。クリームはんだの保管条件および印刷精度や、リフローでの温度プロファイルの管理など、製造での品質が向上すればボイドを減らすことは可能です。X線検査については、ノウハウを持つ外注に「解析」として依頼することをお勧めします。

鉛フリー実装への移行に際して、ボイドの撲滅は必ず通らなければならない道であると言えます。ボイドの撲滅は不可能ではありません。「ボイドを探す」作業よりも「ボイドを減らす」ことを重視したいものです。

鉛フリー実装の 評価試験(2)

鉛フリー実装の評価試験(2)

前回は、鉛フリー実装基板のはんだの接合信頼性を評価するために必要な試験をご紹介しました。これらの試験だけであれば工業試験場でも評価は可能です。しかし、大事なことは、試験の結果をどう判定し、どう品質の保証を保証するかを明確にすることです。

加速試験では、サイクル数に応じて検体を観察して製品の劣化の傾向やはんだの問題点を明らかにする必要があります。そのために、試験を実施した基板のはんだについて、機械的な特性を計測します。

弊社では、一般的な試験として、引っ張り試験とせん断試験などを実施して、そのデータと問題点の解決について提案をしています。

引っ張り試験は、QFPやSOPパッケージなどのリード線がしっかり基板と接合しているかを検査します。評価方法はJISで規格化されています。せん断試験は、チップ部品を側面からたたいて基板との接合強度を評価します。ラジアル・アキシャル部品については、外観を検査して断面を観察します。

この評価を、加速試験の初期、途中、最終の各局面で実施することによって、はんだがどの程度接合強度を保つことができるかわかります。これを鉛フリーはんだと以前の共晶はんだの2種類で実施すれば、鉛フリーはんだの強度を想定することができます。弊社では、個別のピンの接合強度を測定することで、はんだの強度・部品の耐熱性・基板の信頼性などの各方面から改善方法を提案させていただいています。

例えば、引張試験で部品と基板の接合部分のどの部位が、どの程度の力で破断したか共晶はんだと比較すれば、実装強度を判定することが可能です。

弊社では、信頼性試験と機械強度試験を実施することで、製品の寿命をある程度想定するお手伝いをさせていただけると考えています。

基板に部品を搭載する場合、SMDを実装する場合はリフロー炉、ラジアル・アキシャル部品を実装する場合ははんだ槽を使いますが、前者に比べて、後者の方法では、鉛フリー実装における不具合が多く起きているようです。今までの評価の実績に照らしてみた場合、特に、リードを挿入するタイプのコネクタでよくはんだにクラックが発生するようです。プリント基板は、周囲の環境によって膨張と収縮を繰り返します。これを人為的に行う試験がヒートショック試験ですが、基板の膨張と収縮は、Z方向に数値が大きくなるため、ラジアル・アキシャル部品においてリード線(ピン)の部分に不具合が発生しやすいと考えます。さらに、実装後に急冷しずらいことから、引け巣の発生も多く見受けられます。引け巣自体は不良ではないものの、外観上はクラックと見まがうこともあり好ましくありません。

表面実装のはんだを鉛フリータイプに置き換えるよりも、挿入タイプの部品のはんだを鉛フリー化する場合はご注意いただくことをお勧めします。

鉛フリー実装の 評価試験(1)

鉛フリー実装の評価試験(1)

よく、お客様から、鉛フリー実装に移行するために、どんな信頼性試験をして、合格
不合格の判定はどうすればよいのか質問をいただきます。大手の電機メーカー各社は独自の基板で試験を実施してノウハウを積み上げておられますが、その内容を外部で入手することはほぼ困難です。今回より、当社が評価を承る際に実施する評価試験の内容を、少しご披露したいと思います。

鉛フリー実装で考えなければならないのは、はんだの接合信頼性ではないかと考えます。広く知られている通り、鉛フリーはんだで実装するとはんだのぬれ性が悪く、実装時の温度管理やフラックスの選定などが、鉛入りの共晶はんだに比べて非常にむずかしくなります。高い設備を導入したからといって、すぐに鉛フリー実装ができる訳ではありません。言わずもがなの話ですが、実装品質を保証するためのデータが必要です。

弊社では、鉛フリーはんだを使って実装した基板のはんだ評価を実施しています。評価試験は、主に信頼性評価試験・はんだ接合評価試験・観察および解析の3つになりますが、今回は、信頼性評価試験について説明したいと思います。

信頼性評価試験とは、温度サイクル(ヒートショック)試験、温湿度(高温高湿)試験、高温放置試験、振動試験、ガス腐食試験(NOX・SOX・C?2)、塩水噴霧試験などがあります。

当社では、鉛フリー実装におけるはんだの接合信頼性確保のために、温度サイクル・温湿度・高温放置試験の3つは最低限の試験として提案しています。ただし、予算などのご都合で、温度サイクル試験のみ実施していただく場合もあります。

はんだと基板接合部分は、時間の経過とともに品質が劣化してゆきます。周囲の温度変動によるプリント回路基板の温度疲労特性を加速試験によって評価することは、もっとも重要な評価項目です。ちなみに、温度疲労特性を調べることで、以下のようなことが分かります。

  1. はんだの接合信頼性の変化
  2. はんだの組成変化
  3. 基板・部品の品質劣化

信頼性評価の試験については、JISやJEITA(電子情報技術産業協会)から方法や条件が公開されていますので調べていただくとよいでしょう。弊社に評価試験をご依頼いただくお客様には項目毎に弊社から提案させていただくことも可能です。

ただ、留意していただきたいのは、鉛フリー実装基板の温度サイクル試験では、推定寿命を導き出す「ワイブル曲線」が当てはまりずらいことが分かってきています。つまり、鉛フリーはんだで実装した基板を加速試験にかけても、推定寿命は判断することができません。そこで、弊社では、ある条件を提案してデータを取っていただくことを提案しています。

データを基板の仕様によって分類し、試験データを集計し、信頼性が確保できれば、以後の基板については評価試験をある程度簡略化することが可能となります。このデータは、そのまま品質管理データとして外部にアピールすることができます。

弊社では、鉛フリー実装の信頼性データの検討にお使いいただける基板を販売しており、
基板の設計~実装まで、鉛フリー実装導入のための「トータルソリューション事業」を展開しています。評価試験は、専門の機関に依頼することができますが、弊社では、お客様のご都合に合わせて、必要な試験を提案し、評価結果によって数々の提案ができることを特長にしています。いつでもお気軽にお声をおかけください。

次回は、信頼性評価試験の次に実施する、「はんだの接合信頼性評価」について説明します。

鉛フリー実装対応の ためのステップ

鉛フリー実装対応のためのステップ

前回は、鉛フリーはんだの種類についてお話させていただきました。

今回は、鉛フリーはんだ実装を実施するための開発手順をお話させていただきたいと思います。

鉛フリーはんだ実装については、前回取り上げた通りの特性を満足したはんだの中から、お使いのはんだを選定することになりますが、事は簡単ではありません。はんだを選定してから信頼性を検査する一方、はんだ付けの作業工程についての検討も並行して進める必要があります。具体的な開発手順は以下の通りになろうかと思います。
【(株)ソルダーソリューション様監修】

鉛フリーステップ

このように書けば簡単に思われるかも知れませんが、現実には、はんだの選定後の信頼性試験だけでも、最低2ヶ月弱かかります。また、信頼性検査といっても、セットメーカ、部品メーカ、実装メーカそれぞれが実施するべき試験内容は異なります。

最初にやるべきことは、「製品の何を保証すれば妥当であるか」、これを明確にする必要がありますが、試験項目と保証数値自体がまだ業界で標準化されていないのが実情です。

JIS規格では、「JIS Z 3198」(H16年制定)において鉛フリーはんだの試験について規格化されていますが、この内容すべてを網羅しようとすれば膨大なコストがかかります。1社ですべての検査を完結しようとすれば数千万円かかることも珍しくありません。

開発手順のフローでは、はんだを決めてから評価に移りますが、実装条件を決定するまでに、信頼性の評価→解析→信頼性の評価→解析の作業を繰り返す事になります。

当社では、この信頼性評価試験にかける時間やコストを節約する提案をさせていただきます。

今回、信頼性の評価全般を網羅できる検討用基板を開発・発売しました。7月27日には鉛フリー関西サミットにおいて発表しました(6月23日付け日刊工業新聞に掲載)。すでに出荷を開始しましたので、ご希望のお客様は、お問い合わせください。

ご希望があればカタログをご送付いたします。