実装後の解析作業 (1) ボイド

実装後の解析作業(1) ボイド

前回に説明したとおり、信頼性評価試験の後に接合強度を測定することで、強度の劣化の傾向を知ることができますが、強度測定のほか、表面や断面の観察も重要な作業です。今回は、はんだ内部のボイドについて述べてみたいと思います。

X線画像

部品と基板の接合強度を低下させる大敵がボイドです。【写真1】はBGAのボールのX線写真ですが、ほとんど全部のボール内部にボイドが発生しています。鉛フリーはんだは従来の共晶はんだよりも粘性があり、ボイドの発生量が多くなる傾向があります。

ボイドが厄介なのは、目視では存在すらわからないことです。例えば、BGAのボール中央にある小さなボイドの影響は軽微であっても、デバイスや基板との接合部分に存在する場合には、接合強度へ影響を及ぼす恐れがあります。ボイドが多くなると引っ張り・せん断強度が弱くなります。つまり、接合信頼性が低下します。リフロー工程での温度管理がしっかりしていないとボイドが多発します。ボイドの発生を抑えるためには、リフローでのプリヒートの時間や温度を意識して、ガス化したフラックスが放出されやすくなるような温度プロファイルの管理しなければなりません。

目視で確認できないため、X線検査装置やマイクロスコープなども必要になります。ただし、ここでお断りしておきたいのは、ボイドが起きやすいからといって透過型のX線検査装置を買われるお客様がいらっしゃいますが、購入は避けた方が無難です。設備として1000万円前後の費用が必要になる上に、ボイドの有無により、接合部分の良否を判定することはできません。微小のクラックも判別できません。私たちは、製造後の流出を防ぐよりも、製造段階でボイドを低減する方策に力を入れていただくことが肝心ではないかと考えます。クリームはんだの保管条件および印刷精度や、リフローでの温度プロファイルの管理など、製造での品質が向上すればボイドを減らすことは可能です。X線検査については、ノウハウを持つ外注に「解析」として依頼することをお勧めします。

鉛フリー実装への移行に際して、ボイドの撲滅は必ず通らなければならない道であると言えます。ボイドの撲滅は不可能ではありません。「ボイドを探す」作業よりも「ボイドを減らす」ことを重視したいものです。