鉛フリー実装の 評価試験(1)

鉛フリー実装の評価試験(1)

よく、お客様から、鉛フリー実装に移行するために、どんな信頼性試験をして、合格
不合格の判定はどうすればよいのか質問をいただきます。大手の電機メーカー各社は独自の基板で試験を実施してノウハウを積み上げておられますが、その内容を外部で入手することはほぼ困難です。今回より、当社が評価を承る際に実施する評価試験の内容を、少しご披露したいと思います。

鉛フリー実装で考えなければならないのは、はんだの接合信頼性ではないかと考えます。広く知られている通り、鉛フリーはんだで実装するとはんだのぬれ性が悪く、実装時の温度管理やフラックスの選定などが、鉛入りの共晶はんだに比べて非常にむずかしくなります。高い設備を導入したからといって、すぐに鉛フリー実装ができる訳ではありません。言わずもがなの話ですが、実装品質を保証するためのデータが必要です。

弊社では、鉛フリーはんだを使って実装した基板のはんだ評価を実施しています。評価試験は、主に信頼性評価試験・はんだ接合評価試験・観察および解析の3つになりますが、今回は、信頼性評価試験について説明したいと思います。

信頼性評価試験とは、温度サイクル(ヒートショック)試験、温湿度(高温高湿)試験、高温放置試験、振動試験、ガス腐食試験(NOX・SOX・C?2)、塩水噴霧試験などがあります。

当社では、鉛フリー実装におけるはんだの接合信頼性確保のために、温度サイクル・温湿度・高温放置試験の3つは最低限の試験として提案しています。ただし、予算などのご都合で、温度サイクル試験のみ実施していただく場合もあります。

はんだと基板接合部分は、時間の経過とともに品質が劣化してゆきます。周囲の温度変動によるプリント回路基板の温度疲労特性を加速試験によって評価することは、もっとも重要な評価項目です。ちなみに、温度疲労特性を調べることで、以下のようなことが分かります。

  1. はんだの接合信頼性の変化
  2. はんだの組成変化
  3. 基板・部品の品質劣化

信頼性評価の試験については、JISやJEITA(電子情報技術産業協会)から方法や条件が公開されていますので調べていただくとよいでしょう。弊社に評価試験をご依頼いただくお客様には項目毎に弊社から提案させていただくことも可能です。

ただ、留意していただきたいのは、鉛フリー実装基板の温度サイクル試験では、推定寿命を導き出す「ワイブル曲線」が当てはまりずらいことが分かってきています。つまり、鉛フリーはんだで実装した基板を加速試験にかけても、推定寿命は判断することができません。そこで、弊社では、ある条件を提案してデータを取っていただくことを提案しています。

データを基板の仕様によって分類し、試験データを集計し、信頼性が確保できれば、以後の基板については評価試験をある程度簡略化することが可能となります。このデータは、そのまま品質管理データとして外部にアピールすることができます。

弊社では、鉛フリー実装の信頼性データの検討にお使いいただける基板を販売しており、
基板の設計~実装まで、鉛フリー実装導入のための「トータルソリューション事業」を展開しています。評価試験は、専門の機関に依頼することができますが、弊社では、お客様のご都合に合わせて、必要な試験を提案し、評価結果によって数々の提案ができることを特長にしています。いつでもお気軽にお声をおかけください。

次回は、信頼性評価試験の次に実施する、「はんだの接合信頼性評価」について説明します。