クラックと 基板の信頼性

クラックと基板の信頼性について

今回の原稿を作っているときに、湯沸し器大手メーカーの一酸化炭素中毒の話が大きく
報じられました。機器の安全装置の不正改造による事故のほかに、「機器の劣化に伴う基板のはんだ割れによる安全装置の作動不良」に起因する事故が過去に発生していたとのことです。(7月19日付毎日新聞)特に寒暖の差が大きいと、基板への負荷も相当なものです。メーカーの品質担当の方も、10℃~60℃程度の使用環境を想定していたとのことでした。

クラック(はんだ割れ)とは、時間の経過に伴って発生・進行するもので、はじめは小さい割れが成長し、接合部分の抵抗値が上昇します。抵抗値が大きくなればジュール熱が発生します。クラックが進行してゆくと、いずれ接合部分がオープン状態になって製品としては使えなくなります。使えなくなるだけではなく発熱しますので、最悪の場合には発火する恐れもあります。

今まで何度か述べてきましたとおり、はんだから鉛を取り去ってしまうと、鉛の持つ応力を逃がす効果が減少して、はんだは硬く脆くなります。つまり、クラックの発生リスクがより大きくなるわけです。クラックは、表面実装部品、貫通部品いずれにも発生しますが、基板の膨張収縮の応力を受けやすい貫通部品の方が発生しやすくなります。また、鉛を含むはんだでは、クラックは一定の速度で進行しますが、鉛フリーはんだでは、発生すると一気に進行する傾向があるようです。

そのほかに、クラックとは異なりますが、「引け巣」が多く発生することも鉛フリーはんだの特徴です。引け巣とは、はんだが固まる際に発生する凝固割れで、原則的には、進行性はないと言われています。しかし、小さい引け巣では問題はありませんが、フィレットから基板内部に向かって発生した引け巣では、経時経年劣化の過程でクラックが発生する恐れがあります。大きな引け巣は無いに越したことはありません。引け巣の発生を抑制するためには、フロー実装後にいかに早くはんだを冷やすことができるかが重要です。

これまで述べてきましたとおり、基板は時間の経過に伴って品質が劣化します。そこで、基板を加速試験にかけて製品としての寿命を想定する作業が必要になります。鉛フリーはんだの評価試験では、JEITA(電子情報技術産業協会)が推奨する試験項目が公開されています。

はんだを鉛フリー化すると、材料の特性が大きく変わるため、製品の寿命推定も重要な
評価項目になります。基板実装の当初では問題が無いように見えても、経時経年劣化により将来不良が発生するリスクまでは想定できません。寿命を予測するためのノウハウ確立に必要な対応は、早いうちから進めておくべきではないかと考えます。

次回は、信頼性評価試験について、基板の評価項目を少し詳しく述べてみたいと思います。