銅箔のはなし

銅箔のはなし

当然のことですが、基板のパターンは銅でできています。今回は、基板に使われる銅についてお話したいと思います。

基板に使われる銅には2種類の銅箔が使われます。ひとつは、リジット基板に使われる「電解銅箔」、もう1つは、フレキシブル基板や大電流基板に使われる「圧延銅箔」です。

電解銅箔は、硫酸銅(Sn2SO4)の槽に通電し、陰極(ステンレスなど)に析出した銅をシート状に加工したものです。陰極側の銅箔は基板の表面となり、反対側はソフトエッチ(表面を軽くエッチングすること)により粗化されて基材に接します。粗化するのは基材との密着性を向上させるためです。エポキシ樹脂では、樹脂自身が接着しやすくなっていますが、フェノール樹脂と接合する場合は、樹脂自身に接着性がなく、接着剤を使って接合します。一方、圧延銅箔は、純度99.9%以上のインゴットを加熱した上で圧延して作ります。通常のリジット基板は電解銅箔が使われ、フレキシブル基板や銅箔が3オンスを超える場合には圧延銅箔が使われます。

樹脂と金属をくっつけているわけで、しっかり付いているかどうか気になるところです。樹脂と銅箔の接合強度は、JISC6481で引き剥がし強さに試験方法が規定されています。試験は、常温の場合・はんだ処理後・加熱時のそれぞれの条件にて実施することが謳われています。詳細については、JIS規格を参照してください。最近、海外製の基材が使われるケースがありますが、銅と基材の密着強度のほか、諸々の特性が国産のものに比べて劣ることもあります。材料が安いのは事実ですが、お使いになる場合には、基板の特性や信頼性データにもご注目ください。材料のカタログに記載されている場合もありますので確認するとよいでしょう。

銅箔の厚さは、18um、35um、70umが主になっています。生基板を製造する過程で銅メッキを施す両面板や、多層板の表層などは18umが使われることが多く、メッキ工程をしない片面版や多層板の内層、また電流値の高いパターンは35umや70umが多く使われているようです。そのほかに、薄いものではビルドアップ基板などの超高密度のパターン用に使われる12um(9um)、厚いものでは大電流パターン用に使われる105umなどがあります。大きな電流が流れる基板ではさらに厚い銅箔も使われるようです。厚さ35umの銅箔1ft2の重さは1オンス(305g)なので、35um銅箔を1オンス銅と呼びます。18umμは1/ 2オンス、70umμは2オンスです。最近では銅の価格が高騰しており、基板の価格にも跳ね返っているようです。以前は、多層板の電源やGND(内層)には70um材が多く使われてきましたが、最近では、35umもかなりの頻度で使われるようになりました。

コストダウンのツボ

「基板」の信頼性評価データについては先日の別のコラムで述べましたが、「基材」信頼性についてはいかがでしょうか? 前の項で申し上げましたが、基材の製造方法が同じでも、製造会社によって性能は異なるものです。例えば、高耐熱基板のニーズの拡大に伴い、従来のBT樹脂基板より安く、Tg(ガラス転移温度)が高いFR-4材が開発されたりして、基材各社も差別化に取り組んでおられます。

一方、海外からは価格の安い基材も輸入されるようになり、ユーザー側の選択の余地も広がっています。言い方を変えれば、使う側の判断が求められるわけです。基材の特性については、基材メーカーのカタログに特性が表記されていますので参考にしていただき、お客様に最適なものを選択してください。基材を選定する場合、価格の高低のみを判断材料にすることは避けたほうが無難です。