赤目

実装時に基板のランド全体にはんだが濡れ広がらず、一部のランドに銅箔の露出部が残る現象です。鉛フリーはんだでは濡れ性が悪いために赤目な発生が増える傾向にあります。

基板の不良モード

 

基板の不良モードについて

本来、お客様に納められるものは良品100%が当たり前・・・のはずですが、悲しいことに不良品の発生は完全に撲滅できないのが現実です。今回は、皆さんに基板の不良モードについてお話させていただき、コストダウンのつぼで如何にその不良を回避するかを説明したいと思います

  1. 基板上の異常現象について
    1. 断線・ショート
      パターンが設計通りに再現されていない状態です。必要な銅がなくなって欠けや断線が発生したり、不要な銅が残って突起やショートが発生する状態です。その他にエッチング前の露光工程でフィルムがずれればランド切れにつながることもあります。ランド切れを防ぐためにアニュアリングが規定されますが、一般的には、穴径+0.2mmであればほとんどのメーカーで製造が可能です。パターン欠損や銅残りの幅・長さ・個数、またランド部分の銅残り・欠損についてはJIS規格で規定されています。なお、今なお基板メーカーを悩ます不良に擬似断線があります。これはエッチングで細ったパターンが製品として使用されるうちに基板製造の段階では辛うじて導通している。
    2. 層構成上の異常
      クレイジング
      機械的なストレスによりガラス繊維が樹脂から剥離する現象です。ミーズリングとともにJIS規格に規定されています。
      ミーズリング
      主に熱ストレスによってガラス繊維が剥離する現象です。
      デラミネーション
      層間剥離の別称で、これが発生した基板は製品には使えません。
      膨れ・ボイド
      積層プレスで異物や気泡が混入して発生する層間剥離の一形態です。
    3. 打痕・剥がれ
      基板同士のこすれ・ぶつかり・落下などによる物理的ストレスによって基板が不良となることがあります。
      この不良防止のために基板メーカーでは、工程間の移動や梱包の方法などに特別の配慮をしています。
  2. スルホールメッキの異常現象について
    1. ドリル加工異常
      ドリルビットの疲労、回転数の異常や、ビット折れなどによって穴がしっかり加工されないとスルホールのメッキがきれいに析出せず、スルホール異常を引き起こすことがあります。
    2. メッキ異常
      ドリル加工異常のほか、メッキ液の管理や電流管理の不具合からメッキの析出が不十分となり、導通異常を起こす(スルホール断線)場合があります。また、テンティング工法でランド切れを起こすと、エッチング液が穴内部に侵入して断線を引き起こすことがあります。
    3. クラック
      スルホール穴の入り口のコーナー部分で発生するコーナークラック、スルホールの内壁で発生するバレルクラック、内層銅箔との接合部分のクラックなどメッキ層に割れが発生することを指します。
    4. スミア
      ドリル加工の段階で融けた樹脂が穴の内壁に付着して、スルホールメッキと内層銅箔の電気接続を阻む現象を指します。
  3. 基板端面の異常現象について(ハローイング)
    パンチング(金型)で穴や外形を加工した場合、基板端面が刃で破砕されるため端面が白化する現象です。
    厳密には、樹脂とガラスクロス・銅箔が剥離した状態で、パンチング加工の場合は多少の違いはあってもほとんどの場合で発生します。
  4. レジストインクの不具合について
    現像不十分が原因でエッジがぼやけてしまうにじみ、現像ずれが原因のずれなどがレジストの不具合です。
    レジスト不良については、工程やフィルム自体に問題がある場合が多いためロットすべてに不具合の影響が及ぶケースがあります。

コストダウンのツボ

プリント配線板の価格は、ICや表示用デバイスと並んで電子部品で相当の割合を占めています。お客様にしてみれば、プリント配線板は常に価格低減の最も重要なアイテムになっていることでしょう。しかし、カスタム性が高い基板の場合、低価格だけで発注することが難しいのも事実です。実装後に不良が発覚した場合は費用もばかになりません。そこで、安物買いのなんとやら・・・にならないよう、メーカーを選別する参考に、以下の数点を提案したいと思います。これらは経験則から私が考えたものです。足りないものやお客様のご都合で他の項目があれば追加してみてください。

  1. 工程が集中していること。工程によって複数の会社を経由すると品質の維持・管理が難しくなります。特に多層板の場合は一環製造体制が理想です。
  2. 基板の難易度に合った要求品質を規定すること。例えば、電源基板と携帯電話の多層基板を同じスペックで管理しないのと同様に、オーバースペックを極力排除します。具体的には、パターンやランド・外形寸法の公差を図面毎に記載することをお勧めします。
  3. 製造現場に出向いて工程の管理項目をチェックすること。材料の保管状況や廃水処理、製造施設の設定内容などを確認してください。
  4. メーカーがフライングチェッカーを保有していること。特に多層板や細線パターンの基板については導通検査の実施をお勧めします。
  5. 導通検査装置のような全数検査の装置のほかに、穴の断面検査、メッキ厚や導通抵抗・絶縁抵抗・耐熱特性の測定など、自前の検査装置で定期的に検査を実施しているか確認してください。

簡単ではありませんが、何箇所かの工程を見比べればある程度の違いは見えると思います。特に製造ライン周辺が汚かったり、工具や冶具の管理がいい加減だったりすると品質の管理にも悪い影響がでてきます。

ただ、上記のようにいちいちチェックすることができないお客様は私たちにご相談ください。お客様に代わって最良の品質を管理させていただくことができるのも私たちの特長です。

基板の取り数

基板の取り数について

基板の調達に一度でも関わった方なら、1㎡あたりの取り数には気をお配りのことと思います。

しかし、同じ外形寸法の基板でも、メーカーごとに取り数が異なる場合があります。それは何故でしょうか?今回は、取り数計算のメカニズムをお話しようと思います。

『基板』メーカーは、『基材』メーカーより材料(銅張積層板)を購入します。銅張積層板の大きさはメーカーに限らず統一されており、そのサイズは

(A) 1020 × 1020 [mm]
(B) 1220 × 1020 [mm]

のいずれかになっています。

『基板』メーカーはこの材料を自社のラインで製造するために一定の大きさに切断しますが、これを、ワークサイズ(W/S)と呼びます。

W/Sの寸法例を以下に示します。

<W/Sの寸法例>
材料寸法 4分割 6分割 8分割 9分割 12分割
1020×1020 510×510 510×340 510×255 340×340 ——-
1220×1020 610×510 406×510 305×510 406×340 305×340

基板の面付け

W/Sの単位は、通常「ボード」と呼ばれますが、基板メーカーはこのボードの大きさでラインに投入します。

材料(銅張積層板)をW/S(ボード)に分割してラインに投入するときには、上記の図の通り、ボードに基板が面付けされます。面付けする際に製品同士は少し離れて配置されますが、これは、後で切り離すときの「加工しろ」が必要になるためです。この加工の方法については、後日、工程の説明の際にお話します。

ところがここからが問題で、基板メーカー各社では、まず、W/Sのラインアップが違います。例えば、A社では、510×510のサイズは加工できるが、B社では加工できない、といった具合です。

次にX1/X2・Y1/Y2の寸法がメーカーによって異なります。X1とY1は、メッキ加工する際にラックにかかってメッキ液が付かないため「めっきしろ」と呼ばれ、X2とY2は、外形加工のときの「加工しろ」です。「めっきしろ」と「加工しろ」は、メーカーの加工方法や製造機械によって寸法が変化しますから、W/S同様にA社では対応できるが、B社では対応できないということになるのです。

以上のお話でお分かりになったと思いますが、基板の取り数は、基板外形の他に、W/Sと「めっきしろ」「加工しろ」の寸法によって決まりますので、どこのメーカーも同じではありません。そのため、基板の外形寸法を決める際には、メーカーの取り数を確認する必要があります。

開発担当の方々にはやれやれのお話ですが、話はこれで終わりではありません。今度は納期との兼ね合いです。W/Sが豊富であれば今度はラインの管理が大変です。また、外形加工に金型ではなくNCを使うと加工しろを狭くすることができません。

試作専門のメーカーでは、短納期対応の必要性から、ラインの切り替え頻度を少なくするためにW/Sの種類を意図的に抑える傾向があります。中には、ワークサイズを1種類に絞ってしまうメーカーもあるほどです。更に、試作品は発注数量も少ないため、わざわざ大きなW/Sに面付けせずに製造するケースが多いのです。つまり、取り数の論理は無視するためどうしても価格が高くなりがちです。

一方で、最近では、量産メーカーでも4層板を4日以内で製造することも珍しくないため、試作品と量産品の価格差を縮める圧力があることも事実です。

そのため、あくまで一般論ではありますが、短納期対応が必要な試作品と量産品の価格については切り離して考えていただくことをお勧めします。

安かろう悪かろうでは生き残ることはできません。基板メーカー各社は、海外や同業との競争の中で、いつでも安く早く良い製品を送り出す努力をしているのです。

 

コストダウンのツボ

よく、基板メーカーにお見積を依頼される時に、メーカーの営業から「ここの寸法をあと何mm小さくできませんか?」と申し出があると思いますが、これは、基板の取り数の効率を高めることで製品単価が大きく変動するためです。W/Sに4枚面付けされている基板を6枚面付けできれば、単純計算では33%単価が下がります。(実際とは異なります)問題は、前項でご説明した通り、取り数がメーカーによって異なるところです。基板メーカーの立場では取り数の側面しか見えません。しかしお客様の立場では、実装ラインの制限や筐体との兼ね合いから、基板寸法を最適化しずらいのではないでしょうか?

私たちは、部品決定の段階から仕様を検討することで、外形寸法はもちろん、よりコストパフォーマンスの高い製品を提供できると考えております。

基板の製造工法

基板の製造工法について

皆さんは、プリント基板の工法にも様々なものがあることをご存知でしょうか?

基板の仕様によっていくつかの工法に分類されるのですが、今回は、一般的なものについて説明します。

  1. パターン形成方法による分類
    樹脂面の必要な部分にだけ銅を析出させてパターンを形成するアディティブ法と、銅張積層板(基板の材料)の不要な部分をエッチングしてパターンを形成するサブトラクティブ法に分かれます。
    銅を「加える」(足し算)のアディティブ法と、「引く」(引き算)のサブトラクティブ法と覚えてください。一般的なプリント配線板は、製造コストの関係で、ほとんどが「引き算」型です。
  2. サブトラクティブ法の工法について
    大きくは、印刷法・写真法・直接描画法に分かれます。

    1. 印刷法
      スクリーン版でパターンを印刷してエッチングする方法です。片面・両面を主に、パターン・間隙が0.2mm程度の基板に使われることが多いようです。インクの再現性の問題から細いパターン形成には不向きで、小径スルホールは使えず、ランドも小さくできませんが、一貫製造することが出来るため加工費が安価になる利点があります。
    2. 写真法
      表面にドライフィルムを貼り付けて感光させ、感光されない部分を剥離してからエッチングする方法です。
      感光するとき、パターン部分にフィルムを残す場合を「テンティング法」、パターン以外にフィルムを残して感光の後にパターン部分を露出させる場合を「はんだ剥離法」と呼びます。
      高密度パターンはこの工法で製造されることが多く、最近注目を集めるビルドアップ基板も大きく見てこの工法に属します。
      写真法のうち、「テンティング法」が現在の主流ですが、2つの工法の違いは改めて説明します。
    3. 直接描画法
      基板を作成する場合、印刷法と写真法の場合、版やフィルムを作成するためにマスターフィルムが必要になりますが、この方法では、レーザーでパターンを銅箔の上に直接焼き付けるため、マスターフィルムが不要になります。そのため、イニシャル費用が大幅にカットできる利点があります。しかし、焼き付けの作業工数がかかるため短納期対応ができず、レーザーの焦点の大きさの問題から細線パターンを形成することが難しいというデメリットがあります。ただ、最近では青色レーザーの開発により、焦点の小さい光学レンズが開発されており、小ロット基板での対応が可能になりつつあります。

 

 

コストダウンのツボ

基板の工法別にコストパフォーマンスを追及する場合、パターン仕様とロットの大きさから、工法を考慮してメーカーを選定することをお勧めします。

印刷法は、パターンピッチ(幅と間隙値の合計)が0.3mm以上の中ロット以上、写真法はパターンピッチが0.3mm未満の高密度パターンの場合で、ランドを小さくして高実装密度を実現できます。直接描画法は、印刷法とパターンピッチが印刷法と同等の小ロット品、といった感じになります。

個別のメーカーがどの工法を採用しているかは、各営業の担当者にお尋ねください。

ただ、直接描画法の対応メーカーは現状非常に少なく、高密度パターンへの対応もこれから、というのが現状のようです。ただ、ローエンド仕様の試作品で、ある程度リードタイムがある場合にはうってつけの工法です。今後の機器の開発に期待したいと思います。

私たちは、お客様のコストパフォーマンスを高めるため、最適な工法と仕様を提案致します。面倒な調査や作業に取られる時間を最小限にして、早く良いものをお届け致します。是非、お気軽にお問い合わせください。

基板の賞味期限

基板の賞味期限

賞味期限なんて言葉を使うと、お客様の中には「?」と考える方もおられると思います。しかし、半導体が防湿されて送られてくるように基板も湿気にはとても敏感です。ちなみに、SRの工程が終了したばかりの基板などは悪条件下で1週間も放置すれば表面が劣化してしまいます。お客様に届けられる基板は防錆・防湿処理されてはいるものの、これも開封して放置すれば、いずれ表面が劣化して部品が実装できなくなります。今回は、基板の品質保持期限に関する話題で進めて行きたいと思います。

材料は条件次第で劣化の速度は変わりますが、具体的な保管条件としては、FR-4の場合で直射日光を避けた上で温度は20℃以下、湿度は50%以下が目安です。直射日光を受けると反りやねじれ・性能低下の原因となります。高温多湿の条件の下では、基板が吸湿してサビたり性能の低下を招きます。また、加工前に反りや歪みが起きないように、平らな場所で保管する必要があり、基板メーカーでは材料の保管条件や保管場所などにも気を遣っているのです。特に外形寸法が大きな基板などは立てかけていたりするとゆがんでしまいますのでご注意ください。

メーカーが保証する保管期限は、積層板が未開梱で1年程度、加工後のプリント配線板ではFR-4材プリフラックス処理品で未開梱品が2~3ヶ月、金メッキ・はんだレベラ品では未開梱でかつ保管条件が良好なら6ヶ月程度大丈夫だと思われます。開梱されたものを長期間保管する場合は、材料の保管条件を参考にして保管されると良いでしょう。なお、当然のことではありますが、基板を直に手で触れることは避けてください。触れた部分から劣化してしまいます。基本的には手袋を着用して触るかパターン面には触れずに端面を持つようにすれば大丈夫です。

それでは、基板は1年もすれば使い物にならなくなるかというとそうではありません。ここまでははんだ濡れ性を 考えてメーカーの保証期間のお話をしてきましたが、エポキシ樹脂の性能については、高温・高湿と物理的ストレスなどの劣化要因がなく、保管条件に問題がなければ5年程度前に製造された基板であっても表面の銅に問題がなければ使用可能です。

ビルドアップ基板やポリイミド樹脂系の材料は吸湿特性が相対的に高いため注意が必要です。特にビルドアップ基板は材料によって特性が大きく変わるため、予め取引先にご確認ください。ある工法のものは開梱後の保障期間が短いものもあるようです。

保管期間が長引いた場合は、ベーキング処理を施せば湿気を飛ばすことはできます。ただ、メーカーによっては別途費用を請求される場合もありますので極力早いうちに実装を完了されることをお勧めします。また、ゆがんだものや反ってしまったものは使えない場合もあるので注意が必要です。

 

コストダウンのツボ

海外メーカーとの競合で収益が悪化した国内のプリント配線板メーカーが小口受注を避けるようになった結果、お客様に小口品のまとめ発注を迫るケースが増えて、相対的に保管期間が長引く傾向が見受けられます。まとめて発注すれば購入価格は下がるものの、在庫管理に手間がかかることもあって悩ましいところではないでしょうか?表面処理にはんだレベラを選択すれば即解決ですが、鉛フリー実装を採用する場合は使えませんし、実装時の無洗浄化が完了していれば基板の表面処理はプリフラックス仕様になっており、基板の長期保存も難しくなります。

そこで、上記の問題を解決するために、小口品の基板の表面処理に「無電解金メッキ(フラッシュ金メッキ)」を採用してみてはいかがでしょうか?理由はいくつかありますが、防錆特性、対磨耗性、はんだぬれ性のどれを取ってみても良好で、鉛フリーはんだとの相性も共晶はんだに近いとの話もありました。発注先に確認が必要ですが、費用の面についてもそれほど大きなコストアップ要因にはならないと思われます。

つまり、大口(量産)品はプリフラックス、小口品で保管期間が長引きそうなものはフラッシュ金メッキを採用されてはいかがかと考えます。お客様の保管コストと購入費用などから一度ご検討されてはいかがでしょうか?