基板の製造工程 (6)文字印刷

基板の製造工程(6) (文字印刷)

文字印刷は、部品のリファレンスを印刷することで部品の位置を明確にしたり、基板のロット表示やその他の表示をするもので「シルク印刷」とも呼ばれます。文字はもっぱらスクリーンで印刷されますが、白のほかに黄・黒などがあります。

スクリーンの密度は1インチの長さに織り込まれた繊維の本数を「メッシュ数」で表し、メッシュ数が多いほど糸は細くなります。

スクリーン版の製作工程

右側にスクリーン版の製作工程を示します。

まず、版の枠はアルミでできていることが多いのですが、これは使いまわしが効くため、古い版のスクリーン部分を剥がしたものは枠の汚れを洗って再生します。枠に新たな紗を張ってテンションを設定した上で、枠と紗を接着剤で接合します。そこにメッシュの番号やロットなどをスタンプなどで表示してテンションを再度確認して、周囲の紗の耳をカットすればスクリーンが完成です。

ちなみに、印刷法のSR塗布にもスクリーンを使いますが、材料の違いはあっても製造方法は同じです。

できあがったスクリーンにいよいよシルク文字を形成します。スクリーンに乳剤を塗布して感光させれば文字が形成されます。これを乾燥して検査をパスすれば印刷版の完成です。検査の項目は、外観(異物の付着や欠け、ピンホール)検査、膜厚検査、テンション検査などで、すべての版に対して実施します。

最後にシルク文字の仕様ですが、文字幅は150~200μm、ズレは200μm前後を見込んでおけば間違いはないと思います。但し、基板の位置合わせの方法によってこの数値は変わります。位置合わせの方法は以下に説明しますので、ご参考にしてください。

  1. 基板端面を基準にする
    基板の2つの辺を基準面に当てて位置を決めます。位置合わせが容易である反面、以下の方法よりズレが大きくなるデメリットがあります。
  2. ピンガイドを基準にする
    2本のピンで基板を固定させるため、1.より精度は高い。
  3. 認識マークをCCDカメラで捉えて基準にする
    最初にダミーに印刷をして基板の2点を記憶させ、本番では2つのマークとのズレを検出の上、位置を
    補正して印刷します。

 

コストダウンのツボ

現在では表面実装部品が一般的になって両面実装が増えたため、両面のシルク印刷も当たり前になってきました。

このシルク印刷用の版ですが、従来は初回にイニシャルを請求すると、次回からはメーカー側が無償で作成するケースが多かったようです。しかし、コスト競争の激化によって、基板メーカー側でコストを負担しきれない状況に陥っています。このため、版の再作コストをお客様にお願いするケースが増えつつあります。

シルク印刷用の版の寿命は、印刷回数でおおむね1200~1500ストロークと言われていますが、全く使用しなくても半年程度がメドになります。特に多品種少量生産のお客様では、版の負担もばかにはできないのではないかと思います。なお、試作専門メーカーでは、その場限りの使用で終わるケースが多いため、更に寿命が短い場合があり、版の単価の違いで値段の高低を判断することは禁物です(1回のみの製造の場合にはメリットがありますが)。

そこで、今後はエッチング文字を使ったり、インクによるロット表示などの対策が必要になってくると思われます。私たちは、細かい部分にまで目を光らせてお客様のコストメリットを一緒に追求させて頂きたいと考えています。

基板の製造工程 (5)ソルダレジスト

基板の製造工程(5) (ソルダレジスト)

エッチング工程が完了してパターンが形成されました。このまま銅を露出させたまま使う場合もありますが、はんだ漕やリフロー炉を通しても部品はうまく実装できません。また放置すれば銅の表面が酸化してしまいます。そこで、必要な部分の銅だけを露出させるために表面をコートします。これがソルダレジスト(以下SRとします)です。

SRの役割は以下の通りです。

  1. 部品実装時のはんだブリッジの防止
  2. 部品・コネクタなどとの接合部分以外へのはんだ付着の防止
  3. 防錆
  4. 回路間の絶縁信頼性の維持
  5. 外部衝撃からの保護

そのため、SRに求められる品質は、

  1. 基板との密着性
  2. 耐熱性
  3. 耐湿性
  4. 耐溶剤性
  5. 耐CAF性(耐マイグレーション性)

などがあります。ちなみに、5のマイグレーションという現象は「電蝕」ともいい、イオン化した銅が基板のガラス繊維に沿って成長して、最終的に近隣のパターンの銅と接触してショートを起こすことを言います。SRは、表面に沿って成長するマイグレーションを抑制する働きがあるといわれています。

ところで、基板を見ると緑色のものが多いことに気づくと思いますが、この緑色がSRの色です。SRは緑色のみかというと規格があるわけではなく、薄い緑色から青・赤・白・黒などのバリエーションがあります。海外製の基板にはまさにいろいろな色が使われていますが、日本では緑系統の色のほかに環境への影響を抑える材料を使った青、LEDモジュールなどによく使われる白、ほかに黒などがあります。

この工程のプロセスについては、「露光」の工程と同じように、印刷法と写真法に分類されます。印刷法は紫外線で硬化するインクをスクリーン印刷したあと紫外線を照射するものです。一方、写真法はインクを全面に塗布したあと感光させ、感光しなかった部分(不要な部分)を洗い流す方法です。

印刷法はインクをスクリーン印刷して紫外線を照射するので写真法と比較して工程が簡単で、一貫ラインの構築も容易であるため量産製品の製造には適していますが、フィルムを合わせる写真法よりずれが大きくなる傾向があり、銅箔との狭いクリアランスを求められる仕様のものには不向きです。

クリアランスは、印刷法の場合は銅箔に対して300~400μm広げないと銅箔にインクがかぶる恐れがありますが、写真法の場合では100μmが一般的な数値です。

また、スクリーン塗布の方法では、インクがスルホールにつまってしまうこともあります。そのため、スルホールが埋まらないインクの塗布方法があります。一つ目はカーテン状の幕と通してインクを塗布する「カーテンコート」、二つ目はスプレーでインクを塗布する「スプレーコート」と呼ばれる方法です。どちらもスクリーン塗布の方法より基板表面に均一にインクをつけることができます。ただ、どのメーカーでも採用している訳ではないのでお取引するメーカーへ予め確認してください。

コストダウンのツボ

最近、部品の高密度化が進み、ランドのピッチはますます狭くなってきました。QFPやBGAのランドピッチは0.5mm(500μm)が当たり前になっています。そのため、ランド同士の間隙は、200~300μm程度しかとれず、ランド間にSRインクを入れようとするとどうしてもパターンと銅箔のクリアランスが問題になります。

ランド

  1. QFPランドの幅
  2. SRが残るスペース
  3. QFPランドとSRとのクリアランス
  4. QFPランドのピッチ

お客様の希望は大別すると以下の要因に集約されると思います。

  1. 部品との接合信頼性確保のため、Aを広くしたい
  2. 実装時のはんだブリッジ防止のためBを広くしたい
  3. A、Bのスペースを稼ぐためCを狭くしたい

Cの数値については狭いメーカーで35μm、一般的には50μm程度で、A、Bの寸法を稼ぐためにCを35μmで設計すると、メーカーの選択範囲が狭くなってしまいます。

一方、Bの数値は、最低110~130μm程度が必要です。以上より、一般的なメーカーの保証値は以下の通りとなります

  1. 270μm
  2. 130μm
  3. C:50μm

ここでひとつ考えて頂きたいことがあります。上記の数値はあくまで「保証値」です。「実力値」ではありません。皆さんは、SRのランドかぶりについて許容数値がありますでしょうか?もし、SRかぶりを認めていただけないようでしたら、是非変更していただくことをお勧めします。A、Bどちらの寸法も大きくすることができるからです。

基本的にUL規格の認定を取得しているメーカーであれば、実力値では、50μm以下でも設計できるケースは多いと思われます。しかも、特に価格が上がるわけではありません。むしろ、実装しやすくなるため歩留まりが向上する可能性もあります。

私たちは、基板だけでなく設計や実装でのコストも考えてご提案することができる会社です。具体的な数値についてもFace to Faceでお客様の要望を最大限製品に反映させることができると考えています。

ご注意:
今回の記述については、一般的な写真法によるSR形成を前提に進めてまいりました。
紫外線硬化タイプのSRインクではこの仕様では設計できませんのでご承知おき願います。

基板の製造工程 (4)エッチング

基板の製造工程(4) (エッチング)

この工程で不要な銅を除去してパターンが完成します。エッチング前の基板は、パターンの部分がエッチングレジストで保護されており、そのほかの不要な部分の銅を取り去ることがサブトラクティブ(SUBTRACT:引き算する)法と呼ばれる所以です。「エッチングレジスト」は金属レジスト(はんだ・錫など)と有機レジスト(インク・フィルム)に分類されますが、次工程での「ソルダーレジスト」とは異なりますので注意してください。

エッチングの薬品にはいくつかの種類がありますので、以下にエッチングの反応式を記します。エッチングの工程では、基板をコンベアに載せて搬送しながらスプレーノズルから噴射されるエッチング液を噴きつけて不要な銅を溶かします。

ただ、パターン形成の方法にもいくつかの分類があります。以下にその方法別に内容を説明します。

  1. 塩化第二鉄を使ったエッチング反応式
    2FeCl3 + Cu → 2FeCl2 + CuCl2
    この方法は最も一般的で、エッチング後のパターン再現性も良好です。薬品のコスト面にも優れます。
  2. 塩化第二銅を使ったエッチング反応式
    CuCl2 + Cu → 2CuCl
    塩化第二鉄よりエッチング特性は若干劣るものの、エッチング後の液を再生できる利点があります。
  3. アルカリエッチング液を使ったエッチング反応式
    Cu + Cu(NH3)4Cl2 → 2Cu(NH3)2Cl
    最近増えてきた方法です。フィルムが不要なるため、イニシャル費用がかからないメリットを生かして小口品の製造に使われ始めました。今までは光源の焦点の大きさから細線パターンの形成はできませんでしたが、最近では焦点の小さい光源の開発が進んできています。試作品やローエンド仕様の小口リピート品用に伸びると思われますが、基板メーカーの導入がどの程度進むかが鍵になりそうです。

ところで、エッチング液は絶えず化学反応を起こしています。エッチングのスピードは薬品の濃度と温度に左右されるため、エッチング液の管理が必要になります。大手のメーカーでは液の比重を絶えず計り、液の給排については自動制御をしているところもありますが、一方で経験則や感覚に頼って薬品を管理するメーカーもあり、高密度パターンの基板については相応の管理ができるメーカーかどうかチェックすることをお勧めします。

不要な銅を除去すると、次はエッチングレジストを除去します。金属レジストには酸性の水溶液、有機レジストにはアルカリ水溶液(水酸化ナトリウム・水酸化カリウム)を使います。

この工程が完了すると樹脂面に美しい配線が形成されて、いよいよプリント基板としての体裁が整ってきます。

コストダウンのツボ

最近はプリント配線板の製造技術の進展も著しいものがあります。今回取り上げたエッチング工程の技術についても、携帯電話やパソコン、デジタルカメラなどは、ライン/スペースが75μm/75μm程度まで細い配線で設計されており、もはやクリーンルームの整備などと合わせて半導体の領域に擦り寄る形になっています。

ところで、皆さんがお使いの基板の仕様はいかがでしょうか? パターンやランドの仕様がどれも同じであるお客様は少ないと思いますが、仕様の難易度によって発注先を代えることを考えることはありますか?

抵抗を例に考えてください。回路によってワット数や抵抗許容差を考えて部品メーカーを決める場合もあると思います。部品の単価を目安に発注先を決定されることもあるでしょう。

基板についても仕様次第でコストパフォーマンスが高いメーカーを選択してみてはいかがでしょうか?

例えば、高多層・高密度品の製造を得意とするメーカーに簡単な両面板の製造を依頼したり、内層の製造工程を持たないメーカーに多層板の製造を依頼してもコストパフォーマンスは期待できません。実装の面でも、小口品は自動実装機を使うか、手実装で組み立てるか検討する必要があると考えます。

しかし、パターンの難易度によってその都度発注先を検討するとなるとその検討のための工数や費用もばかにはできません。開発担当者が最適な部品や仕様を検討するにも限られた時間が足かせになることも多いことでしょう。

そこで、私たちは、お客様の仕様に合わせて最適なメーカーやコストを考え、場合によっては部品の決定まで提案させて頂きたいと考えます。大事なことは安さだけではありません。製品の使用環境やコストパフォーマンスまで早く的確に判断することでお客様のお役に立ちたいと考えています。

ご用意いただく資料は、回路図と外形寸法の図面だけでも構いません。最適な仕様については私どもから提案させて頂きます。是非一度ご連絡をお持ちしております。

基板の製造工程 (3)焼付け

基板の製造工程(3) (焼付け)

前回までの工程で、内層パターン入りの基板に穴をあけてメッキを施すところまで漕ぎつけました。ただ、穴径が小さいこともあって遠目に見るとまだただの銅の板です。基板のパターンを焼き付けた段階あたりから基板らしくなってくると私などは考えています。

ただ、パターン形成の方法にもいくつかの分類があります。以下にその方法別に内容を説明します。

  1. フィルムによる焼付け(写真法)
    基板にフィルムを貼りつけて感光させてパターンを形成します。銅箔厚18μmの一般的な基材では、ライン/スペース(以下L/S)100μm/100μm程度までのパターン形成が可能です。但し、ビルドアップ工法で生産される携帯電話やデジカメなどに使われる基板では、銅箔厚10μm未満の材料を使って L/S:75μm/75μm の微細パターンを形成できるメーカーも登場しています。
    なお、この形成法は「テンティング法」と「はんだ剥離法」に分けられます。現状は前者が主流ですが、フィルムとしては「ポジ」と「ネガ」になります。具体的には、前者はパターンやランドになる部分にフィルムを残してフィルムをエッチングレジストとしますが、後者はパターンやランドになる部分以外にフィルムを残して必要な部分は後からはんだをメッキしてエッチングレジストとします。後者の工程は長くなりますが、ランドがずれて露光されても穴の中にエッチング液が入らないため、TH断線を起こさないメリットがあります。
  2. インクによる印刷(印刷法)
    インクでパターンを印刷する方法です。「基板の製造工法」でも説明しましたが、量産性が高くローコストが求められる基板に採用されます。ちなみに銀スルホール基板の製造工法もほとんどが印刷法です。L/S は 200μm/200μm 程度が一般的ですが、写真法に比べてパターンの端面がシャープではなく、パターン幅や間隙値を細かく規定することは難しい工法です。
  3. 光学的な直接描画
    最近増えてきた方法です。フィルムが不要なるため、イニシャル費用がかからないメリットを生かして小口品の製造に使われ始めました。今までは光源の焦点の大きさから細線パターンの形成はできませんでしたが、最近では焦点の小さい光源の開発が進んできています。試作品やローエンド仕様の小口リピート品用に伸びると思われますが、基板メーカーの導入がどの程度進むかが鍵になりそうです。
  4. アディティブ法
    (1)から(3)とは全く異なり、樹脂面の上の必要な部分にのみ化学メッキの方法でパターンを析出させる工法です。電気メッキを使わないためパターンの厚さを均一にすることができる一方、メッキ工程に時間がかかり設備費用などのコストもサブトラクティブと比べてかなり高く、この工法を採用しているメーカーはわずかです。

上記がパターン形成の一般的な方法ですが、この工程には他の工程と決定的に違う特徴があります。それは、この工程ではチリや繊維ごみなどを非常に嫌うことです。

フィルムと基板の間に繊維が付着し、そのままエッチングの工程に流れるとパターンの突起や欠けが発生します。著しい場合にはパターンショートや断線へとつながります。こうなった基板は、当然二度と使いものになりません。このため、この工程は半導体と同様にクリーンルームでの作業となり、作業者は入室前にごみを落としてから作業にかかるよう工夫されています。

また、ひとつ付け加えるとフィルムにごみが付着するともっと怖いことにロット全体が不良品になってしまいます。そのため、フィルムの作成の段階でもごみの付着には気を遣い、工程で使う前のフィルムもチェックされています。

コストダウンのツボ

基板の実装密度や配線密度が上がると、基板の面積に占める穴+ランドの割合が頭の痛い部分になると思います。貫通穴の数が増えると内層の信号線のスペースが削られるだけでなく、電源やGNDのスペースにも影響します。そのような時、基板のランド径の寸法はいかがでしょうか?

穴に対するランドの残り幅を「アニュアリング」と呼びますが、この幅はメーカーによってばらつきがあります。ただ、もしランド径を小さくできれば、ピンの間にパターンが1本余計に配線できるかもしれません。特に最近のようにBGAやCSPといったパッケージを使用した場合、ピンの間に配線ができないばかりに層数を追加するような憂き目にも会いかねません。ビルドアップ基板を採用、なんてことになったらコストが跳ね上がってしまいます。(物理的に配線ができない場合は仕方ありませんが・・・)一方、設計し直すとかなりのイニシャル費用もかかります。

設計から基板、実装まで一貫して提案できる当社なら、最適な仕様を提案して余分なコストをカット、納期の短縮にも貢献します。是非、仕様の検討からご依頼ください。

基板の製造工程 (2)メッキ

基板の製造工程(2) (メッキ)

ドリルの工程が終了すると、基板に穴が一杯あいた状態になっています。しかし、穴はあいていても内壁は樹脂が露出していて表裏は導通していません。メッキ工程は表裏を電気的に接続させる作業です。基板全面にメッキを施すため、このメッキ工程をパネルメッキと呼ぶこともあります。

ただ、多層板の場合、いきなりメッキ作業に取り掛かることはできません。

スミア

右の図をご覧ください。ドリルが終わった穴の内壁には、ドリル加工で融けた樹脂が残っている場合があります。これを「スミア」と呼びますが、このままメッキをすると内層銅箔と導通せず断線と同じ状態になってしまいます。

そのため、多層板ではスミアを除去してからメッキに取り掛かります。この作業は「デスミア」と言います。デスミアが済むと、内壁を洗浄して触媒を付加した後に化学銅メッキを施します。化学メッキは均一に付きますが、厚くつかないので続けて電気メッキで銅を厚くつけます。メッキの厚さをより均一にするため、化学(無電解)メッキのみで対応するメーカーもあるようですが、その方法ですと工程の時間がかかります。

スルホールのメッキ厚は、回路によって流れる電流の値が異なるため保証値の判断はつきませんが、平均では20μ前後はあるので1A程度までは信頼性には問題はないと思われます。数10Aクラスの回路での銅の厚さについては大電流基板の項目で説明します。

以前はメッキの析出のほか、ドリルの加工精度の悪さやメッキ後の工程の問題から、スルホールの断線が発生することがありましたが、最近では発生頻度はぐっと少なくなりました。なお、はんだスルホール基板はほとんど無くなっています。

コストダウンのツボ

プリント基板のメッキの技術もかなり確立され、スルホール断線も最近は少なくなったことは説明した通りです。ところで、今回のコストダウンのつぼは、このスルホール断線の対策についてお話したいと思います。

まず断線が起こる原因についてお話します。スルホール断線(以下TH断線とします)の原因は、内壁にメッキの析出が不十分である場合と、メッキ工程の後に「溶け落ちて」しまう場合の二通りがあります。

前者の問題その1はドリルの加工精度の問題です。ドリルのビットが傷んだり、回転数や送りスピードに問題があると穴の内壁が均一に加工されず、メッキを内壁全体に付けられないために表裏の導通が不十分になります。

その2は、メッキ工程の管理の問題です。メッキ液は定期的にしっかり交換しているか、製品の品質は定期的にチェックされているか、加工中のトラブルは無いか、メーカーごとに管理項目が決められているので、発注先の基板メーカーに確認してみればよいと思います。

後者の問題その1は、パターン形成(露光)工程の問題です。露光作業のときにフィルムがずれてしまうと、エッチング工程で穴の中に侵入したエッチング液がメッキを溶かしてTH断線を起こすことがあります。この不良はレジスト作業前や、出荷前の検査でほとんど発見されているようです。

その2はレジストインクによる問題です。レジストインクをスクリーン印刷によって塗布する場合、インクが穴を塞ぐことがあります。後に表面を洗うための工程で酸を使っていると、インクが塞いだ穴に残った洗浄液が時間をかけてメッキを溶かしてTH断線を引き起こすことがあります。この不良モードの厄介なところは、製造工程の電気検査の段階では検知できず、経時変化とともに断線するところです。このため、残渣の出やすい小径穴では、最初からランドの銅を露出させずにレジストインクで覆う方法が取られる一方、レジストインクを薄く均一につけるために「スプレーコート」「カーテンコート」などの方法を採用する基板メーカーもあります。

今回は、コスト低減というより品質管理の話になってしまいました。しかし、TH断線はロット全体に波及する恐れがあるため、発生した場合の被害は計り知れません。そうならないためにも、メーカーを決定されるときに少しでもお役に立てればと考えております。私たちは仕様や技術的なファクターはもとより、品質の管理全般に至るまでお客様のお手伝いをさせていただくことができる会社であると自負しております。