基板の製造工程 (4)エッチング

基板の製造工程(4) (エッチング)

この工程で不要な銅を除去してパターンが完成します。エッチング前の基板は、パターンの部分がエッチングレジストで保護されており、そのほかの不要な部分の銅を取り去ることがサブトラクティブ(SUBTRACT:引き算する)法と呼ばれる所以です。「エッチングレジスト」は金属レジスト(はんだ・錫など)と有機レジスト(インク・フィルム)に分類されますが、次工程での「ソルダーレジスト」とは異なりますので注意してください。

エッチングの薬品にはいくつかの種類がありますので、以下にエッチングの反応式を記します。エッチングの工程では、基板をコンベアに載せて搬送しながらスプレーノズルから噴射されるエッチング液を噴きつけて不要な銅を溶かします。

ただ、パターン形成の方法にもいくつかの分類があります。以下にその方法別に内容を説明します。

  1. 塩化第二鉄を使ったエッチング反応式
    2FeCl3 + Cu → 2FeCl2 + CuCl2
    この方法は最も一般的で、エッチング後のパターン再現性も良好です。薬品のコスト面にも優れます。
  2. 塩化第二銅を使ったエッチング反応式
    CuCl2 + Cu → 2CuCl
    塩化第二鉄よりエッチング特性は若干劣るものの、エッチング後の液を再生できる利点があります。
  3. アルカリエッチング液を使ったエッチング反応式
    Cu + Cu(NH3)4Cl2 → 2Cu(NH3)2Cl
    最近増えてきた方法です。フィルムが不要なるため、イニシャル費用がかからないメリットを生かして小口品の製造に使われ始めました。今までは光源の焦点の大きさから細線パターンの形成はできませんでしたが、最近では焦点の小さい光源の開発が進んできています。試作品やローエンド仕様の小口リピート品用に伸びると思われますが、基板メーカーの導入がどの程度進むかが鍵になりそうです。

ところで、エッチング液は絶えず化学反応を起こしています。エッチングのスピードは薬品の濃度と温度に左右されるため、エッチング液の管理が必要になります。大手のメーカーでは液の比重を絶えず計り、液の給排については自動制御をしているところもありますが、一方で経験則や感覚に頼って薬品を管理するメーカーもあり、高密度パターンの基板については相応の管理ができるメーカーかどうかチェックすることをお勧めします。

不要な銅を除去すると、次はエッチングレジストを除去します。金属レジストには酸性の水溶液、有機レジストにはアルカリ水溶液(水酸化ナトリウム・水酸化カリウム)を使います。

この工程が完了すると樹脂面に美しい配線が形成されて、いよいよプリント基板としての体裁が整ってきます。

コストダウンのツボ

最近はプリント配線板の製造技術の進展も著しいものがあります。今回取り上げたエッチング工程の技術についても、携帯電話やパソコン、デジタルカメラなどは、ライン/スペースが75μm/75μm程度まで細い配線で設計されており、もはやクリーンルームの整備などと合わせて半導体の領域に擦り寄る形になっています。

ところで、皆さんがお使いの基板の仕様はいかがでしょうか? パターンやランドの仕様がどれも同じであるお客様は少ないと思いますが、仕様の難易度によって発注先を代えることを考えることはありますか?

抵抗を例に考えてください。回路によってワット数や抵抗許容差を考えて部品メーカーを決める場合もあると思います。部品の単価を目安に発注先を決定されることもあるでしょう。

基板についても仕様次第でコストパフォーマンスが高いメーカーを選択してみてはいかがでしょうか?

例えば、高多層・高密度品の製造を得意とするメーカーに簡単な両面板の製造を依頼したり、内層の製造工程を持たないメーカーに多層板の製造を依頼してもコストパフォーマンスは期待できません。実装の面でも、小口品は自動実装機を使うか、手実装で組み立てるか検討する必要があると考えます。

しかし、パターンの難易度によってその都度発注先を検討するとなるとその検討のための工数や費用もばかにはできません。開発担当者が最適な部品や仕様を検討するにも限られた時間が足かせになることも多いことでしょう。

そこで、私たちは、お客様の仕様に合わせて最適なメーカーやコストを考え、場合によっては部品の決定まで提案させて頂きたいと考えます。大事なことは安さだけではありません。製品の使用環境やコストパフォーマンスまで早く的確に判断することでお客様のお役に立ちたいと考えています。

ご用意いただく資料は、回路図と外形寸法の図面だけでも構いません。最適な仕様については私どもから提案させて頂きます。是非一度ご連絡をお持ちしております。