フレキシブルプリント配線板とリジット(硬質)プリント配線板の相違(2)~材料

リジットプリント配線板とは
ガラスエポキシ樹脂などをベース基材に採用した
FR-4/CEM-3を中心とした硬質樹脂プリント配線板を指す。

一方、フレキシブルプリント配線板は
可撓性、屈曲性を持ったプリント配線板を指す。
リジットプリント配線板では、

多くのケースでガラスエポキシ樹脂が採用されるが
フレキシブルプリント配線板にはポリイミド樹脂またはポリエステル樹脂
などが採用されることが一般的だ。

 

エポキシ樹脂とポリイミド樹脂は耐熱性に大きな相違がある。

リジットプリント配線板の場合、

ガラスエポキシ樹脂が採用されたFR-4材の耐熱性能には

『Tg』(ガラス転移温度)という指標が採用される。

プリント配線板においては

Tg(ガラス転移温度)とは、

概念上では「材料の特性が変質する境界温度」といえ

ガラスエポキシ材(FR-4)は140℃程度だが、

フレキシブルプリント配線板に採用される

デュポン社製のカプトンには数値の表示がなく

300℃程度までの雰囲気温度には耐えることが可能とされる。

ポリイミド樹脂のデメリットを敢えて挙げるとすれば『吸湿性』だ。

材料が吸湿するとリフロー工程において

吸湿した水分が気化してブローホールの原因となる。

ポリイミド樹脂は、ガラスエポキシ樹脂と単純に比較して

3倍以上の吸湿率を保有するため、

梱包、保管、雰囲気には留意することを推奨する。

材料の特性に大きな相違が存在し

可撓性を意識した回路の設計仕様を網羅する必要性から

ガラスエポキシ基材と同一データを基に

フレキシブルプリント配線板置き換えることは原則的には不可能だ。

また、フレキシブルプリント配線板は
可撓性の特徴のほかに材料の薄さも特徴に挙げられよう。

材料が異なるため特性にも相違がある。
先述した吸湿性に限らず
物性の相違点には留意していただきたい。

リジットプリント配線板は、
1,000mm×1,000mm
または
1,000mm×1,200mm
といった積層板として提供されることから、
製品に加工された後も、
単位面積あたりの価格に換算されることが多い。

しかしながら、
フレキシブルプリント配線板材料は、
*ロール形状で供給されることが多いこと
*材料に大きな相違があること
*工程が細分化されており標準化することが難しいこと
*層構成が標準化されていないこと

などの理由から
単位面積を基本にした価格の算定は不可能といえる。