BGA実装について リペア作業

BGA実装について リペア作業について

前回は、マウンタを使った通常のリフロー実装を想定して話しを進めましたが、今回は、実装後の「リペア(リワーク)」について話をしたいと思います。最近では、デバイスメーカー側がQFPパッケージをサポートしていないケースもあると聞き及んでおり、否応なくBGAパッケージを選択しなければならなくなるケースもあるようです。

通常のリフロー工程の場合、端的に言えばBGA実装は難しくありません。マウンタの精度を考えてみればわかりますが、従来のQFPパッケージでも0.5mmピッチは当たり前でした。BGAパッケージでは一般的には1.0mmまたは1.27mmピッチのものが多く、QFPよりもセルフアライメント効果も働きやすいため位置ずれを起こしにくくなっています。実装作業後に不具合をチェックすることの重要性は当然のことながら、BGA実装に接する際にはじめにケアするべきことは、クリームはんだの印刷品質ではないかと考えます。メタルマスクの膜厚・メタルマスクの開口部の形状や開口率・はんだの粘度・印刷後の状態などは、必ずチェックする必要があるのではないかと考えます。半導体メーカーやBGAパッケージを多く使用するセットメーカー、さらに大手実装会社やEMSメーカーあたりは、クリームはんだの印刷品質をチェックするための評価基板を独自に開発しています。

しかし、通常のリフロー作業はうまくいってもリペア作業となると話は変わってきます。余談ながら、市場ではデバイスを外す「リワーク」という用語が使用されることが多いようですが、当社では外す作業では片手間ではないかと考えて「リペア」と言い習わすようにしています。

BGAは一般的にデバイスの単価が高く、例えば基板に不具合が発生した場合にデバイスを載せ替える必要性が生じる場合があります。本来は、基板の一部分だけを加熱する作業には品質上のリスクが多くあまりお奨めできないと筆者自身は認識していますが、現実には、特に試作品や小口品の実装品でリペア作業は必須になりつつあります。そこで、リペアを実施する際に特に重要ではないかと思ういくつかの注意事項を以下に列記します。

  1. 市場に流通する基板では極力実施を避けること
  2. 費用の問題から大口ロットでの実施は避けること
  3. リペア装置の性能を詳細にチェックすること
    判断材料:エリアヒーター/スポットヒーターの能力、温度プロファイルの作成機能、その他オプションなど
  4. リペア作業前に温度プロファイルをチェックすること
  5. 基板のランドの強度を落とさないよう、はんだボールは基板側に残すこと
  6. 基板側に残したはんだ残りを除去する際には、ランドを剥がさぬように注意すること

デバイスのデータシート上では複数回熱の負荷を与えることを制限する文章が記載されていることが多いようですが、BGA自体の耐熱性は案外良好で、経験則上では3~4回程度リフロー炉を通してもデバイスが破壊されることは少ないようです。
(*この文章はデバイスの耐熱特性について保証するものではありません)
デバイスへの熱の付加よりも問題になるのは基板へのダメージです。

リペア作業にとりかかる際、基板には既に諸々の部品が実装されており、すべての部品を一度取り外すことは現実には不可能です。実際のリペア作業ではBGAおよびこれに近接する部品のみを取り外すことになります。部品を取り外すにあたっては局部的に熱負荷がかかるわけで、基板にはあまり好ましいことではありません。BGAを取り外した後、再度基板に実装する場合にも「手はんだ実装」はできないためリワーク専用の機器や設備が必要になります。

BGAパッケージは、実装後にデバイスの四隅に反り返る応力がかかり、この部分で不具合が発生しやすくなります。最も起こりやすい不具合は、基板のランドが剥がれてします現象です。基板のパターンは千差万別である上、BGAパッケージを実装する基板はほとんどの場合が多層板です。多層板には電源層やグランド層を設ける必要があることから、この部分の銅箔はベタパターンになります。従って、基板自身が放熱効果を持ってしまい、リペア機の熱を逃がしてしまってはんだが融けず、基板のランドを剥がしてしまいます。この不具合を未然に防ぐためには、どの程度の温度であればはんだがしっかり融けるかを予めチェックする必要があります。