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基板の製造工程(8) (外形加工I)

基板の表面処理が完了すると、ワークサイズの不要な部分を切り捨てる外形加工の工程に移ります。外形加工は金型加工とルーター加工の2種類あります。ルーター加工とは、側面に刃のついたドリルのような円形のビットで基板端面をなぞるように切る方法です。

金型は「紙系」材料の基板を加工する場合と、「ガラス系」材料の基板を加工する場合で異なります。「紙系」の基板ではほとんどの場合、すべての穴とミシン目・スリットを一括してパンチング(打ち抜き)します。一方で、「ガラス系」の基板では、径の小さい穴はパンチング加工ができないことと、スルホールやミシン目はドリル加工によって穴をあけるため、筐体への取付け穴やスリットのみ加工します。また、紙ベースの材料をパンチングする場合には基板を予め加熱しますが、ガラスベースの基板は常温のまま加工します。更にガラスベースの基板は材料が堅いため、金型の耐久性を向上させるために刃に焼きいれの加工を施します。

費用の側面から見ると、金型加工は金型代が高くつくものの加工費用が安いためイニシャル費用を回収できる大ロット、ルーター加工は金型のイニシャル費用が回収しずらい小ロットや試作品向きです。加工時間から見ても金型加工では、ルーターマシンと異なり短時間で一度に加工できるメリットがあります。

また、円や異形の外形の基板を面付けする場合、「プッシュバック式」の金型があります。これは、抜いた製品を元の位置にはめ込むようにして戻す手法の金型で、1回の加工で打ち抜く作業と元の位置に押し込む2つの仕事をこなします。金型費が通常の2倍程度になってしまうのが厳しいところですが、小さな基板を面付けすることができ、スリットやVカットを組み合わせて反りも抑制することができます。

ところが、多層板では大口ロットであってもルーター加工を使うケースが増えてきました。一番の理由は加工での品質の差です。ルーター加工ではビットの太さや回転の速度など調整することができるため基板端面は滑らかで、切断面の仕上りが滑らかです。金型加工でも破断面の品質を確保するために打ち抜きの力を均一になるように気を遣い、基板にかかるストレスを軽減する工夫もされていますが、どうしても基板端面を破砕することになるため基板端面にストレスがかかって白くなります。また、破砕面からガラスの粉が落ちたりするため、一部の製品向けには金型は使いづらいのです。携帯電話を代表とする板厚が薄いビルドアップ基板では外形加工はルーターを使う事が多いそうです。

最後に例外のお話をひとつ。ここまでのお話は一般的に使用されている紙フェノールやガラスエポキシ系の基板を想定しています。最近増えつつあるFPC(フレキシブル基板)や放熱特性を重視したメタルベース基板は、材質の特性上ルーター加工が難しく金型加工になります。



コストダウンのツボ

前の項で費用の面で、金型の加工費が安いと申し上げました。事実、1枚の基板の加工時間を考えると、金型を使った場合はセッティングが済んでしまえば一瞬で加工が完了しますが、ルーター加工は基板の周囲やスリット部をなぞるように加工するため相応の時間がかかります。原則論でいえば、金型加工とルーター加工ではそれなりの価格差があってしかるべきなのです。

まわりくどい言い回しで大変申し訳ございません。しかし、最近ではその価格差が急激に縮小しているのです。ある量産メーカーで生産技術部隊の方のお話を聞かせていただいて私なりに想像するに、以下のような事情があると考えます。

メーカー側の事情
  1. 民生向けの基板の多くがユーザーの要望でルーター加工に置き替り、メーカーがルーターマシンを多く導入した結果、量産効果で加工費が下落して金型用のプレスマシンを保有する意味が薄れた。

  2. 従来から保管している金型の保管スペースが大きくなりすぎて、保有コストがバカにならなくなってきた。

  3. ルーターマシン自体の価格が下がってきた。


ユーザー側の事情
  1. ユーザー側で資産圧縮の動きが広がり資産計上しなければならない金型が敬遠され始めた。

  2. 製品のライフが短くなり、製品あたりのイニシャル費用を低減する必要性が大きくなった。


片面板の世界ではまだ金型加工が主流ではありますが、私たちは、今後ルーター加工がこの業界の主役になると考えています。特に大口ロットの海外生産が当たり前になって小口製品への対応力はさらにクローズアップされると思われます。